お知らせ

ぺピン結構設計演劇公演『対岸の火事』

2012.11.12

ぺピン結構設計『対岸の火事』

横浜を拠点に活動する劇団、ペピン結構設計(ぺぴんけっこうせっけい)は、2012年11月30日より北九州市小倉北区の文化発信複合スペース「フォルム三番街」を中心に、新作オリジナル演劇「対岸の火事」を上演します。
本作は、2012年6月から、小倉での延べ一ヶ月のフィールドワークで触れた記憶・記録・風景をもとに生まれた物語です。魚町商店街・魚町三番街中屋ビル会場を中心にエレベーターで移動し鑑賞する劇場型作品とは趣向の異なった演劇公演となります。三木屋も移動公演の会場のひとつになる予定です!
今回の作品製作は、「フォルム三番街」が運営するコンテンポラリー・アートギャラリー「ギャラリーエレベーター」のレジデンス・プログラムの一環として行われています。
※ギャラリーエレベーターとは?
アーティスト発掘・活動の場を提供する文化発信の複合スペース「フォルム三番街」によるビルのエレベーターを活用したコンテンポラリー・アートギャラリーです。

ぺピン結構設計演劇公演『対岸の火事』
● 作・演出:石神夏希
● 出  演:下田寛典 中澤大輔、吉田能、ほか
● 日  程:2012年11月30日(金)〜12月2日(日) 全7回公演
● 料  金:1500円(前売・当日)
● 会  場:フォルム三番街・ギャラリーエレベーターほか周辺会場
● 集合場所:魚町三番街中屋ビル2F「ポポラート三番街」集合工房(北九州市小倉北区魚町3-3-20)
JR小倉駅徒歩約8分、モノレール平和通駅徒歩3分
※本作品はお客様が受付を行ってからいくつかの会場を移動しながら鑑賞・体験する形式の作品となります。なるべく歩きやすいお履物でご来場下さい。
※エレベーターの定員の都合につき、入場をお待ち頂く場合がございます。予めご了承ください。
● 開演時間:2012年11月30日(金)〜12月2日(日)
11/30(金)19:00
12/1(土)13:00/16:00/19:00
12/2(日)13:00/16:00/19:00
※ 鑑賞時間:約75分 受付は開演の60分前より開始
● お取扱い:こりっちチケット http://ticket.corich.jp/apply/41262/ ※ウェブ予約
魚町三番街中屋ビル1F「AnAn2」 ※チケット販売・店頭取扱店舗
● お問合せ:ぺピン結構設計 090-8455-5978/info@pepin.jp
● 主  催:ギャラリーエレベーター演劇公演実行委員会、ペピン結構設計
● 協  賛:中屋興産株式会社 株式会社ワークスープ
うおまちのにわ 三木屋 株式会社 北九州家守舎
北九州市文化振興基金奨励事業

レセプションパーティー
ギャラリーエレベーター演劇公演実行委員会ではペピン結構設計「対岸の火事」の公演を記念してレセプションパーティーを開催します。ペピン結構設計のメンバーを交えての懇親会にぜひともご参加ください。
● 日時:2012年11月30日(金)21:00〜(1時間程度)
● 場所:うおまちのにわ 三木屋(北九州市小倉北区魚町三丁目2−5)
● 会費:3000円(当日会場にてお支払いください)
● 定員:50名程度

演出ノート
「対岸の火事」 石神夏希

小倉に滞在した4日間、魚町商店街の人たちに色んな話を聞いた。
特に印象的だったのは、火事の話だった。火事で燃えてしまった、今はもう無いお店の話。
火事の話が出るまで、そんなお店があったことさえ忘れていた人もいて
「ああ!そういえば」なんて、思い出話に花が咲いたりもした。

火事の話をするときは、みんな決まって笑っていた。
魚町のビルのいくつかは、火除けのためにお稲荷さんを祀っている。
あそこはお稲荷さんを祀っていなかったから火事になったんだとか
あっちのお稲荷さんとこっちのお稲荷さんがケンカしたから火事になったんだとか。
きっと当時は、大変な思いや怖い思いもしたのかもしれないけど
みんな、なぜか大笑いしていた。あんまり楽しい笑い方なので、私たちもつられて笑った。
火事というものを知らない人が聞いていたら、お祭りか何かだと思ったかもしれない。

商店街の未来を憂う人、つらい過去を抱えながら笑顔で店に立つ人、
ヤクザに撃たれれば本望だと命を張って商店街を守る人。
すげえな、と思った。
私たちの住んでいるまちでは民家からロケットランチャーは出てこない。

小倉にいる間、北九州市のガレキ受け入れにも話は及んだ。
怒っている人、悲しんでいる人、「自分とあなたたちとは考えが違う」と線を引く人。
私たちは曖昧な笑顔で応えることしかできず、モヤモヤとした気持ちのまま帰京した。

マザー・テレサは「愛の反対は憎しみではなく無関心だ」と言った(らしい)。
火事見物に駆けつける野次馬は、布団の中でサイレンを聞いて「大変ね」
って言いながらセックスしてる人たちよりは愛があるのだろうか。
北九州の商店街で演劇公演をやる私たちも、野次馬みたいなものかもしれない。
それが無関心の反対だとして、まだ「愛」とは呼べない。

だけど対岸の火事の話をするときは、笑っていようと思うんだ。
いつまで対岸にいられるか、わからないけどね、って。

ぺピン結構設計
1999年、高校の同級生5名で結成。慶應義塾大学の学生を中心にメンバーを増やし、STスポットやBankARTなど横浜の劇場にて作品を発表。また地元オフィスビルを再利用した創造拠点「北仲WHITE」に入居し、アトリエ「ぺピンポート」として改築しながら稽古〜公演までを行った2006年『蜜の味』など、一貫して横浜を拠点とした作品製作を行ってきた。2002年、『東京の米』にてかながわ戯曲賞最優秀賞受賞。2004年、同作品にて東京国際芸術祭リージョナルシアターシリーズ参加。2010年、こまばアゴラ劇場演劇フェスティバル・夏のサミット参加。2010年までに19本の作品を上演。企画にあたっては、メンバー全員でフィールドワークやワークショップを行う。作・演出は石神夏希が担当。劇場であれ劇場以外であれ、上演する場所の記憶にこだわり、ひとりひとりが日々の生活から生まれる問いや問題意識を持ち寄って作品に反映させることをポリシーとしている。結成10年を機に解散および「再設計」を行い、初期メンバー4名にて再スタートを切る。現在メンバーは、5名。(2012年10月時点)
近作紹介
● アマゾン/Amazon
(2011.12サブテレニアン/東京、2012.7エルパーク仙台/宮城)
すべてが流され去った世界で、幸運にも生き残った平凡な男。彼と一緒に箱に 乗っていて助かった女。ふたりは鳩を放し、「欲しいもの」をリストに書き連ね ていく。ドトール、いいとも、週刊ジャンプ、友達。失われた平凡な日常。彼らの欲しいものはお急ぎ便送料無料で届けられるが、「あの日」だけが返ってこな い。そのかわり女のもとへ届けられたものとは…… 仙台の劇団「三角フラスコ」が震災直後に制作した短編劇『はなして』への応答 としてつくられた作品。震災後のやり取り、合同公演を通じて、2つの街を行き 来し思い合う私たちの対話を『ハウ・アー・ユー?』という企画名に込めている。東京・宮城、2ヶ所にて上演。
● お母さんしかいない国
(2011.1三田の家、智ちゃん家/東京、2012.2 STスポット/横浜)
『お母さんしかいない国』は、お母さんだけが暮らす架空の場所です。街の集会所・ワンルームマンション・劇場と、いくつかの上演会場を巡りながら点滅するように、現れたり消えたりします。 4人のお母さんが登場します。お父さんや子供は出てきません。にもかかわらず、彼女たちは「お母さん」として暮らしています。料理をしたり、洗濯をしたり、誰かの帰りを待ったり。 すべてのお母さん役は、男の子たちが演じます。彼らの姿はきっと、彼ら自身のお母さんに驚くほど似ていると思います。